暑中お見舞いー平尾彩子さんからのメッセージー
平尾さんに二十年前、映画「若人よ」完成のときに取材をしていただきました。以来友人としてお付き合いさせていただいています。お便りをご紹介させていただきます。
槙坪夛鶴子
槙坪夛鶴子さま
暑中お見舞い申し上げます。
英文毎日の取材でお話を伺わせていただいたのは20年近く前のことだったでしょうか。以来、毎年いただくお年賀状やその他でご活躍を知り、陰ながら応援しています。といっても「老親」を発表されたときは、私自身も老親介護の真っ最中で、さすがに同じ環境の映画のを見る気力は出ませんでしたが...。
私が7人のガン闘病者とともにモンブランに登ったというお話をしましたところ、槙坪さんが「登山が好きなのですか?」とお尋ねになったときのことが忘れられません。実はそのころ私は登山があまり好きではなく、その理由は山頂に立ったときの景色がいつも同じだからというものでした。「苦労して登ってたどり着いたところが海の上だったり、銀河の果てだったり、毎回違えば面白いのに、いつも山頂というのがねぇ...」などと私がとりとめのないことを言ったときに、槙坪さんは、「あなたは体力があるからそう思うのですよ。体力がない人にとっては山頂まで登れたということがどれほどうれしいことか」とおっしゃいました。
最近でも私は時々国内の山に登りますが、山頂に立つたびにそのお言葉を思い出します。そして、心の中で、「槙坪さん、今日も山頂に立てました。ありがとうございます。」と私の傲慢を戒めてくださった槙坪さんに感謝を捧げています。
さて、遅くなりましたが、「星の国から孫ふたり」にわずかながら協力金を郵便局からお送りしましたのでお受け取りいただければ幸いです。私が高校時代に机を並べた友人の家に自閉症児が生まれて、その友人の30年あまりにわたる親としての絶望や希望や苦労を折に触れて見てきた者として、槙坪さんの映画が、友人と同じような親たちの励ましとなり、また、自閉症児やその家庭に対する社会の理解向上につながることを願っています。
きのう、今日は少ししのぎやすいようですが、まだ暑さがぶり返すとのことです。どうぞくれぐれもお身体を大切になさってください。映画の完成を楽しみにしています。
かしこ
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槙坪たづこ様
お体に注意し、危ない登山であれば、無理せずに下山し、また登りなおしてほしいと、思います。登山の頂上には何もないから。大切なのは、夢を追いかけることです。無理なさらず、頂上を目指してください。大一郎より
追伸 米倉斉加年様 この前は、たいへん失礼致しました。ネクタイとか黒の革靴は、今は身につけません。学生だったころ、白いワイシャツと黒い革靴が、好きでした。お会い出来て光栄です。